2009年10月26日月曜日

頭を空っぽにしておくことで起こるよいこと

 朗読でも音楽演奏でも、時間と空間をだれかと共有しておこなう表現行為においては、頭を空っぽにしておくこと。身体のなかも空っぽにしておくこと。なにもたくらまないこと。
 たくらみは大脳の、しかも「意識」という悪しき部分のする仕事。後天的意識は表現行為においてよくないことばかりする。なので、意識を捨てて、無意識に仕事をさせる。
 意識を捨てて頭をからっぽにして、身体のなかも風通しをよくして、外界からの膨大な非言語情報を受け入れ、身体の中を通りぬけさせる。そうすれば、無意識がいい仕事をしてくれる。本来の自分自身の反応と表現が生まれ、それはまったく作られていないものとして、ありのままの形で相手に伝わっていく。
 たくらみがない表現は、人と人のあいだに共振/共感を生まれさせる。それはミラーニューロンのなせる業のひとつでもある。人はそういう生き物なのである。

 とはいうものの、これが一番難しい。たくらむよりも、入念に準備するよりも、繰り返し練習するよりも、なによりもこれが難しい。
 その方法を教えるのはもっと難しい。