2009年12月2日水曜日

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

 この映画は実話にもとづいている、ということわりがはいっている。
 ソ連に侵攻されていたアフガニスタンに、ある政治的理由でアメリカが介入をためらっていた時期、一見実現不可能と思える複雑な政治手腕を発揮して軍資金をゲリラたちに調達し、ソ連の無敵攻撃ヘリコプター・ハインドを始めとするさまざまなハイテク武力を打ち破るきっかけを作り、ついにはソ連のアフガン撤退を実現した政治家の物語、である。
 その政治家が合衆国下院議員のチャーリー・ウィルソンズであり、実在の人物である。トム・ハンクスが演じている。
 監督はマイク・ニコルズ。私の世代だと「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」や「卒業」が印象に残っている。

 私の少年時代のアイドル作家のひとりにR・A・ハインラインというSF作家がいたが、彼の小説に『異星の客』というのがあった。これは当時、ヒッピーの間でバイブルにもなり、現代もNVCのツールのひとつに「グロクカード」があるように、まだ生きて残っている小説といっていい。「グロク」というのはハインラインの造語で、小説のなかで重要な言葉として登場する。
 何度か読みかえしているが、NVCの視点で読みなおしてみると、たしかに主人公のヴァレンタイン・マイケル・スミスは非暴力の人であり、非暴力の思想を体現している。超能力を使いはするが。
 その小説の舞台となるのが、デュバル・ハーショーという作家の邸宅なのだが、デュバルはそこに秘書と称して美女を何人もはべらせている。美女たちはプールで遊んだりなんかして、いつも楽しそうだ。デュバルがなにかアイディアを思いつくと、「当番!」と叫んで、美女のひとりを呼びつけ、口述筆記を始める。
 それにそっくりの設定が、チャーリー・ウィルソンズの美人秘書軍団なのだ。チャーリーはやり手の政治家ではあるが、ごく俗っぽいエロおやじであり、自分自身を見ているような場面もあって、なんだかお尻がもぞもぞするのだった。たしかにげろきょも女性が多い。
 もちろん私はやり手の政治家ではないし、影響力のある著名な作家でもない。しかし、平和を実現する場にはかならず女性がいる。ただし、この映画のケースでは武力解決ではあったわけだが。
 映画の本筋とは関係なく、そんなことを考えながら見ていた。
 それにしても、チャーリー・ウィルソンって本当に映画のなかで描かれていたような人物なのか?