2010年2月25日木曜日

食糧、飼料、バイオ燃料

 バイオ燃料の販売がいよいよスタートするというニュースがあった。バイオエタノールをガソリンに数パーセント混入して販売するのだ。
 バイオ燃料というのは、要するに食糧から作った燃料のこと。おもな原料はトウモロコシなどの穀物。

 ここでは数字は書かないが、2000年以降、世界の穀物消費量は増えつづけている。生産量も増えているのだが、消費量の増加に追いついていない。
 これはなにを意味するのか。
 世界の飢餓人口は10億人といわれているが、これがさらに増えつづけているということだ。毎日、飢えによって25,000人もが命を落としている。その大部分が子どもだ。21世紀のいま、人間の死亡原因のトップは飢餓である。
 世界で生産されている穀物のうち、消費の第一は「食糧」としてである。人間が食べる。
 第二位は? 家畜の飼料である。人間が食べるための家畜が食べる。
 第三位は? バイオ燃料である。車が食べる。この部分が飛躍的に増加しつづけている。
 人類はこれまで一度も、食べ物を燃やしてエネルギーに使ったことはない。それが21世紀になって始まった。これを歴史的悲劇といわずしてなんという?

 世界の飢餓人口10億人に、毎日飢えないだけの穀物を供給するためには、年間3兆円かかるといわれている。
 え、3兆円? たったそれだけで世界を飢餓から救うことができるの?
 もっとも低価格の穀物原料の食物は、一食3円しかかからない。つまり、一日10円もかからない。嘘だと思うなら、日本でもたくさん商品として出回っているカロリー栄養補助食品を見てみればいい。価格は数十円かもしれないが、流通経費や営業利益を引いたら?
 穀物食料はとても安いのである。
 国家予算における自衛隊の予算は5兆円である。その予算から3兆円を捻出して世界の飢餓を救うために回したら、だれが日本を軍事攻撃するだろうか。それこそ自衛隊そのものが不要になるのではないか。

 バイオ燃料を増やすことでもっとももうかっているのはだれなのか。
 国や自治体がバイオ燃料の導入をこれほど推進しているのはなぜか。
 自動車メーカーがバイオ燃料の導入に積極的なのはなぜか。
 アメリカを中心に欧米各国にものすごい勢いで作られているバイオ燃料プラントは、だれが作っているのか。
 私たちにできることはなにかあるのか。