2011年3月7日月曜日

この土日のできごと(1)児童養護施設の子どもたちと朗読で共感

先週土曜日、3月5日昼のできごと。
東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉でおこなわれる養護施設の子どもたちのためのイベントの準備のために、午前10時集合。全6回シリーズでライブワークショップに参加していた約10名のメンバー。
今期のライブワークショップは、このイベントに向けて学びながら準備してきた。
私は機材準備があったので、みんなには自主的にリハーサルをやってもらう。

11時半、〈スピリット・ブラザーズ〉へ移動。機材搬入。
今回手伝ってくれる伊藤さやかも現地で合流。
音響機材とデジタルピアノをセッティングしていると、もう子どもたちがやってきた。しばらく外で待っていてもらい、12時すぎに開場。
子どもたちが席につくと、すぐにオーナーの人見さんが準備した食事がサービスされる。とてもおいしそう。
今回のカリタスというミッション系の児童養護施設の子どもたちは職員の方々で、シスターも何人かいらしている。これまでのイベントでは、最初からガンガン切れ目なく出し物が続いたのだが、今回はまずゆっくり食事を楽しんでもらおうということで、1時半まで出し物は待機。そのかわり、人見さんにメニューについての説明をしてもらう。

1時半、まずは私と伊藤さやかのOeufs(うふ)による童謡・唱歌の演奏。野々宮が曲の解説を準備して、トークと進行を受け持ってくれた。
季節柄、春の歌を中心に8曲演奏。とくにシスターたちが熱心に耳を傾けてくれているのが印象的だった。
そのあと、デザートが出て、ここでも人見さんの解説付きでゆっくり味わってもらう。
デザートがだいたい終わった頃に、みんなにも参加してもらって「カエルの歌」の輪唱大会。私は好き勝手に伴奏。

会場がほどよく暖まったところで、いよいよ朗読コーナー。
げろきょのアラサー・アミーガスと呼ばれている久保りか、まぁや、鈴木美沙子の3人(と飛び入り照井数男)による新美南吉の「一年生たちとひよめ」という短い作品。まるで小学生にもどったかのように、のびのびと無邪気に自由にやってくれて、大変楽しかった。子どもたちも食いいるように同化して聴いてくれた。
最後はライブワークショップメンバーによる新美南吉の「手袋を買いに」。
子ギツネとお母さんキツネの話で、親と離れて暮らしている事情の養護施設の子どもたち相手にどうだろう、という危惧も予想されたが、私はどういう事情の子どもであれタブーを持ちたくなかった。新美南吉の「手袋を買いに」というお話があることは現実的な事実なのであって、それを私たち大人が誠心誠意、心をこめて子どもたちにプレゼントする、それだけでいいのではないかと思った。
ここでも子どもたちも大人たちも、食い入るように聴いてくれ、会場がなにか不思議な空気に包まれた。シスターたちを始め、涙する大人もいた。なにか作りあげたものを提示するのではなく、そこにいる自分たち、そこにいる子どもや大人たちと、すべてを共有し、共感を作りたいというげろきょの方法が、予想をはるかに超えて結実したように思う。
ワッと盛りあがるように楽しさではないかもしれないけれど、じっくりと深いなにかが伝わった実感があった。

最後に人見オーナーのご自身の体験をまじえた話があり、またシスターからの心のこもったお礼の言葉をもらって、お開きになった。
子どもたちの何人もが、もっとここにいたいよ、といいながら名残り惜しそうに帰っていった。私たちにもとても大きな時間だった。

ライブワークショップはしばらくお休みですが、現代朗読基礎講座というのが今月末から始まります。
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