2011年7月18日月曜日

テキスト表現ゼミとオンライン版「次世代作家養成塾」

昨日は、午後、現代朗読基礎講座。夜はテキスト表現ゼミ。
テキストゼミは参加者が少しずつ増えてきて、昨日は初参加のりかさんと、来月から参加のあいこさんも参加。
今回の課題は「親指」。
毎回、私がテキトーに決めたお題を持ちかえって、一週間で500字または1000字の短文を書いてきてもらう。文章の種類はなんでもよく、ストーリー、スケッチ、エッセイ、詩、なんでもありだ。テーマと字数の制約だけがある。
参加者にはひとりずつ、書いてきたものを読みあげてもらい、講評したり、課題を見つけて解説したりいっしょに考えたりする。

昨日はまず、ふなっちの作品。どこともわからない部族の成人儀礼を描いたもので、まったくもってわけのわからない、不思議な作品。
ふなっちは自分の無意識のなかに潜んでいるわけのわからないものを、身体性とともにストーリーとして取りだす方法を発見した。それだけでおもしろい書き手の道は半分以上保証されたようなものだ。毎回、彼がどんなストーリーを持ちこんでくれるのか、楽しみでしようがない。
もっとも、わけのわからないものをただだらだらと書きつけただけでは、「人に読ませる」
ことを前提にした「作品」とはならない。昨日はそれについて少し解説してみた。

つづいておくだくん。
彼はもともと、そつのない文章を書ける人だ。今回も、そのまま商業作品として通用しそうな、完成されたショートストーリーを書いてきた。しかし、私たちは商業作品をめざしているのではなく、自分を表現するためのテキストの方法を見つけようとしているのだ。文章からおくだくんそのものが立ち現れてくるような作品がほしい。
彼にはもうひとふんばり、踏みこんでチャレンジしてみてほしい。

初回から参加しているさいこさん。
出だしから彼女の匂いが立ちのぼってくる。彼女はたしかに、自分の語り口を見つけた。ここ何回かの作品をいくつかならべて、その冒頭だけ読みあげてみると、そのことははっきりわかるだろう。
そして今回は、ファンタジー作品に挑戦してきた。これも不思議な作品で、彼女独自の世界が現れかけている。すばらしいファンタジー作家の誕生が予感される。

初参加のりかさん。
先週来られたときは、
「身体性を意識して書く? わけがわかりません」
と、かなり混乱しておられたようだったが、いざやってみたら、思いがけずすらすら1000字書けたという。なるほど、楽しい作品ができてきた。
文章には不思議なことに、それを書いた人の人柄がにじみ出す。りかさんの人柄が出ていて、とてもよかった。

かっしー。
すごい作品ができてきた。小説でもない、エッセイでもない、詩でもない。なんと呼べばわからないが、たしかに彼にしか書けない作品だ。
感覚的なことをものすごく客観的に描写して、まるで数学の証明問題のように最後まで持っていかれた。まいった。彼のこれまでの最高傑作に違いない。

最後はひさしぶりにテキストエチュードをみんなで。
今回の課題は「比喩表現」。
「この夏の暑さは~みたいだ」という比喩表現を書きなさい、というエチュード。簡単なエチュードだと思ったのだが、実際に書いてもらうと、ほとんどが「比喩表現」というものを理解していないことがわかった。こりゃびっくり。
解説する。比喩表現とはなにか。なぜ比喩表現が有効なのか。比喩表現が読者にもたらすものはなんなのか。

昨日も充実したゼミであった。
ところで、羽根木の家に来られない方のために、オンライン版の講座を開催することになった。
名付けてオンライン版「次世代作家養成塾」。
詳細についてはあらためて流すが、とりあえずこちらにも詳しく掲載してあるので、興味のある方は見てみてください。もう参加受付もおこなっています。