2013年2月12日火曜日

「音読日めくり」366回(終了)を振り返る

「音読日めくり」は今朝の配信をもって366回めとなり、2012年(うるう年)2月13日からスタートした配信が丸一年となって、終了した。いやいや、我ながらご苦労さん。
ただの一日も欠けることなく配信できた。
(スケッチは第一回配信のシマトネリコの葉っぱ)

スタートした当初は、

・文学作品の引用(おもに冒頭部分)
・音読療法に関するひとことメモ
・手描きのスケッチ

の3点セットだった。
楽しくスタートしたはずが、始まって数日後には「これはえらいことを始めてしまった」と後悔の念にかられることとなった(冗談っぽく書いてるけど半分ほんと)。
一番大変だったのは、もちろん「手描きのスケッチ」。

あまり負担にならないように、と思って、そのへんに落ちていたり生えている植物の葉っぱのスケッチを気軽に始めたのだが、実際にやってみるとこれがなかなか大変。
まず、葉っぱはきちんと描こうとすると、形も色もけっこう複雑だ。
もっと大変なのは、その葉っぱがなんという名前の植物のものなのか、特定すること。

樹木の名前を葉っぱから検索する図鑑を何冊か買った。
それでもわからない。
カエデとかツバキとか、よく知っている樹木ならいいのだが、唐種招霊(カラタネオガタマ)とかいった日にはまったくお手上げだ。
すぐに葉っぱから日和って、身の回りの小物とかお菓子とかでもよい、ということにした。

このスケッチは楽しくもあり、苦しくもあったのだが、たぶん私のこれまでの人生でもっとも手を動かした期間だと思う。
150点以上のスケッチができたので、下北沢の〈Com.Cafe 音倉〉で展示させてもらったり、ついでに「音読日めくり」にちなんだ朗読ライブをやらせてもらったりもした。
音倉でのスケッチ展はこの期間に2回やらせてもらった。
幸い、好評をいただいたのでうれしい。

お盆前後くらいからだんだん息切れしてきて、暑いこともあって、とてもスケッチは毎日つづけられないと判断、写真に切り替えることにした。
スケッチは毎日小一時間、ものによっては一時間以上紙の前に拘束されてしまうが、写真だったらシャッターを押すだけですむ。
無理な負担を押しきって中断してしまうより、とにかくつづけられることのほうを優先した。
それでも、毎日の作品選びとひとことメモはあるのだ。

作品選びは最初のころはなにも問題はなかったが、回を重ねるにつれネタ切れとなっていった。
終わりのほうはどの作品を掲載するのか、毎日とても苦労していた。
最後の回は夏目漱石と決めていた。
音読療法についてのひとことメモも、毎日のことなのでネタには苦労したが、これは思ったほど大変ではなかった。
音読療法のことについてなにか書こうとキーボードに指を置くと、自然になにかしら浮かんできて書くことができたのだ。

連載がスタートして間もなく、日めくりを朗読して、それをネットに流してくれる人が何人かあらわれた。
これはうれしかった。
そこまでしなくても、毎日読んでくれている人がいることは、ありがたく、つづけていくための原動力となった。

残念だったのは、これだけ毎日つづけていても、ブログ読者の数はほとんど増えなかったということだろうか。
このブログは毎日4、500人の方が読んでくれているのだが、日めくりブログのほうは100に達しないことが多かった。
徐々に増えてくれるだろうと想像していたのだが、ずっと横ばいで、拡散もされなかった。
たぶん、大きなニーズがなかったということだろう。

どんなに苦しくても毎日の配信を欠かさずつづけてこれたのは、私が自分を大切にすることができたからだと思う。
そのことについて自分自身にお祝いしたい。
自分がなにを大切にしているのか、そのためになにができるのか、なにをしたいのか、ということを毎日毎日くりかえし確認する日々だった。
もちろんこれは読んでくれていた皆さんとのつながりがあってはじめてできたことでもあった。
あらためてみなさんには感謝したい。


追伸。
「音読日めくり」はこれで終了しましたが、3月からはまたあらたな企画がスタートします。
近く発表しますが、またお付き合いいただけるとありがたいです。
そして拡散に協力していただけるともっとうれしいです。