2013年5月17日金曜日

暖かい季節になってほっとしている

人は自分の生まれた季節が一番好きになるというが、私にかんしてはそれは本当だ。
いまの季節が一番好きだ。
好きというより、実際に体調がよくなり、気力も充実する。
寒いのが極端に苦手なので、この季節になるとほっとする。

北陸生まれなのに寒いのが苦手なのは変だ、といわれることが多いが、雪国生まれでも苦手なものは苦手だ。
たぶん、父親も寒いのが苦手な男で、子どものころから家の暖房にはうるさかったのと、子ども(つまり私)にもしこたま厚着をさせていたので、私も寒さに弱くなったのだろう。

東京でも北陸でも、この季節には植物がぐいぐい育ちはじめて、楽しい。
実家の軒先には毎年、ツバメが巣を作るのだが、今年も作っている。
ほとんど完成していて、もうすぐ卵を産んで暖めはじめることだろう。
だれに教わったわけでもないのに、泥と藁を運んできて、器用に巣を作っているのを見るのは、不思議でもあり楽しくもある。


そろそろ小説のほうでまとまった仕事をしたい、という気持ちが強まってきている。
私は短編小説も好きだが、デビューは長編小説であり、長い物語を書くのも嫌いではない。
かなりの根気と持続的な集中力を要する仕事だが、自分ではわりあい得意なほうだと思っている。
かつては年に何本も書いていたこともあったが、数年に一本、集中して自分でも納得できるものを書きたいという欲求がある。

いま書きたいと思いはじめているのは、自分の少年期の話だ。
先日、現代朗読公演のために「子どものころの七つの話」という短編連作を書いたが、あの延長線上で長編にしてはどうかと思う。
いまの時代が失ってしまって、しかしまだ少しは取りもどせるとても大切なことが、私の子どものころにはたくさんあったような気がする。
それを伝えていくことは無意味ではないかもしれない。

「音読日めくり」みたいに一年連載で、季節に連動した話を書いてみようかな。