2015年5月27日水曜日

ミツバチともだち、わわわ

いまでもよくおぼえているのだが、小学五年から六年にかけて、学校の図書室にある本を片っぱしから読破していったことがある。
そのなかでも気にいったのが、世界少年少女SF全集とシートン動物記だった。
それを皮切りに、中学校ではSFと動物にかんする本ばかり読んでいた。

シートン動物記のつぎは、もちろんファーブル昆虫記で、これはもう夢中になった。
動物記も昆虫記も暗記するくらい繰り返し読みかえした。
中学から高校にかけて、畑正憲の動物ものにハマった。
まだタレントとして有名になる前で、青春と動物を行ったりきたりする軽妙なエッセイに夢中になった。

SF好きはさらに進んでいたのだが、SFと動物を同時に満たしてくれる作家がいた。
光瀬龍がそれで、彼は萩尾望都が漫画化した『百億の昼と千億の夜』は有名だが、同時にファーブル昆虫記を彷彿とさせる『ロン先生の虫眼鏡』という昆虫エッセイをSFマガジンに連載していた。
それもすばらしく楽しい読み物だった。

犬猫を飼うことを親が許してくれなかったので、小鳥をたくさん飼っていた。
メダカやイモリ、フナなどの水生動物や、昆虫やトカゲなどの小動物もたくさん飼っていた。
そして、私の最高のバイブルとなったのは、コンラート・ローレンツの『ソロモンの指輪』だった。
私はこれを読んで、動物行動学者になりたくなった。

大学は京大の理学部をめざしたが、失敗。
その後はグレて、ピアノ弾きになったり、小説家になったりして、いまにいたる。

職業小説家を40歳のときに折り返して、いまはピアノ弾きへと大きくもどってきた感じだが、さらにおもしろいことに、私を少年時代の動物行動学へと引きもどしていく動きがある。
それがニホンミツバチだ。

4月23日に羽根木の家にニホンミツバチがやってきて、すでに一か月以上がたった。
このところ、ミツバチ関係の人たちに会う機会が急に増えた。
最初はミツバチインストラクターの後藤純子さんにお会いして、ご指導をあおぎ、羽根木のミツバチもなにからなにまでお世話になったし、なっているし、これからもなるだろう。
ありがたく、心強い。

後藤さんの紹介で、ミツバチ研究の第一人者である玉川大学名誉教授の佐々木正己先生とも知り合うことができた。
うれしいことに、先生は私たち羽根木ミツバチ部の顧問になってくださった。

先週の金曜日、佐々木先生のお話による「みつばち千年の森」植樹報告会と、ニホンミツバチ勉強会があるというので、出かけてきた。
あらかじめフェイスブックで情報が流れ、そこに書きこんだことがきっかけで、在来種ミツバチの会を主催しておられる藤原養蜂場の藤原誠太さんや、そのお嬢さんで東大の院でミツバチの研究をしておられる藤原愛弓さんにお会いできた。
また、銀座ミツバチプロジェクトの代表の高安和夫さんにもお会いした。
急にミツバチの世界が広がって、頼もしい気分になった。

その翌々日の日曜日には、名古屋で今年ニホンミツバチを飼いはじめたばかりの友人の位里ちゃんと会い、彼女が師匠とあおぐ伊藤ちづるさんのお宅にお邪魔して、ミツバチを見せてもらった。
ここはまた気持ちのいい庭で、手入れの行き届いたいろいろな植物や野菜が配置されたなかに、ブドウの蔓がからまったあずま屋があり、かわいい養蜂箱が置いてある。
テーブルと椅子が置かれ、そこでお茶をいただくのはとても気持ちのいい時間だった。
いつまでもいられる空間だった。

ちづるさんはミツバチの絵を描いておられて、今度6月18日から東京の谷中サブリエで作品展をやるそうだ。
見に行こう。

ちづるさんちの庭を見て、私は羽根木の家の庭ももっと居心地よくしたくなった。
縁側があるのでついそこでくつろいでしまうが、庭ももっと使えるようにしたい。
きれいに雑草を抜いて整備するのではなく、ファーブルの庭みたいにできるといいな。
そしてファーブル昆虫記ならぬ羽根木昆虫記でも書いてみたいな。