2016年1月25日月曜日

自分がはまりこんでいる枠型に気づく

現代朗読の体験参加に来られる方の多くが、あらかじめウェブサイトやフェイスブックを見て、ここでやっていることがほかの朗読講座や教室とはどこかちがった感じであることを知って、興味を持つようだ。
たしかにだいぶちがう。
わかりやすく、なにが決定的にちがうのか、しめしておきたい。

たいていの朗読講座では講師や先生、つまり指導者がいて、その方はたいていすぐれた朗読者であるとされている。
実際、アナウンサーであったり役者や声優であったり、語り部であったり、すぐれた朗読技術を持っている方が多い。
なので、指導者は「このように読みなさい」という「読み方」や「方法」をしめしてくれる。

そう読めばいいんだ、こういうふうに練習すればいいんだ、としめされたとき、生徒は安心してその努力をする。
たとえとてもきつくて難しい練習であっても、指導者がまちがいなくそういっているのだから、そのとおりにすればいずれかならず指導者のようなすぐれた朗読者になれると信じることができる。

現代朗読では「読み方」や「方法」を教えることはいっさいない。
それらの練習方法や形は自分の外側からあたえられたものであって、「表現行為」の本質ではないとかんがえるからだ。
表現行為の本質とは、自分自身から表出する生命活動そのものに裏打ちされたその人本来の生き生きした「なにか」であろう。
つまり、そう表現するその「根拠」は、内在するものであって、外側からあたえられるものではない、とするのが現代朗読だ。

その方向性で実際に朗読してみると、だれもが、自分がいかに多くの「外部から与えられた枠型」にはまりこもうとしてしまうかに気づく。
いや、まずそれに気づくことすら、最初はむずかしいかもしれない。
なぜなら、多くの人がほとんど無意識に、自分の外から与えられた枠型に自分をはめこみ、それで楽をしながら生きているからだ。
そう、枠型に自分をはめこんで生きるのは楽なのだ。

どんな「学び」でも、外から与えられた「こうしろ」あるいは「こうしてはいけない」という枠型をなぞる練習をすることがもっとも楽だ。
人気のある教室は魅力的な枠型を用意して、人々を待ち受けている。

現代朗読にはこちらから参加者に与える枠型はない。
まずやってもらうのは、自分がどのような枠型にはまりこんで表現しようとしているのか気づいてもらうこと。
つぎに、その枠型をはずせるかどうか、そのために自分の内側に起こっている生命現象のダイナミズムに気づき、聞き、触れていくことができるかどうか。

むずかしく聞こえるかもしれないが、試みるのは、ようするに「自分がどうすれば楽しく、生き生きしてくるのか」その方向をさがすのだ。
そうすれば自然に外部的枠型ははずれていく。

どう表現するかの根拠は、自分自身のなかにある。
これが現代朗読の基礎になっているかんがえかただ。
だから、現代朗読にはお手本もルールも、上手・下手もない。

じゃ、主宰者であるあんた(水城)はなにをしているのかって?
みなさんが自分自身の命につながるお手伝いをしているのです。
そこに私の喜びがあるのです。

朗読表現基礎ゼミ(2.6)
従来の朗読とはまったく異なったアプローチで驚きを呼んでいる「現代朗読」の考え方と方法を基礎からじっくりと学ぶための講座。2月6日(土)のテーマは「朗読という表現行為/表現とはなにか/自分自身を表現するということ」。単発参加も可。