2017年3月2日木曜日

映画:マーシャル・ロー

1998年公開の合衆国映画。
その3年後の2001年に同時多発テロが起き、この映画とのあまりの類似性が指摘されて話題になった映画です。
たしかに観てみると、あのテロ後に作られたんじゃないかと思うほど、シチュエーションが酷似しています。
ニューヨークの街並を写したカットでは、2001年に崩壊した例のツインタワービルが、まだ健在で写りこんでいます。

監督はエドワード・ズウィック。
この「マーシャル・ロー」後に「恋におちたシェイクスピア」「アイ・アム・サム」「ラストサムライ 」なども撮っていて、まあベテランといっていいでしょう。

主演はデンゼル・ワシントン。
助演のアネット・ベニングという女優が、複雑で謎めいたキャラクターをうまく演じています。

バス爆破からはじまる連続テロ事件を、デンゼル・ワシントン演じるFBIが追いかけ、そこにCIAだのNSCだのがからんでくるという、スパイ合戦みたいな側面もあるストーリーです。
爆弾犯はアラブ系モスリムで、これも2001年の同時多発とかぶっています。
アネット・ベニング演じるエリースというNSCの女は、じつは偽装で、CIAの中東スペシャリストのシャロンという名の女であることが判明したり、ブルース・ウイリス演じる将軍の陰謀が明らかになっていったり、かなり複雑なストーリーとなっています。
それに加えて、派手な爆弾テロの続発シーンが、凄惨さを上塗りしていきます。

バカ映画の出演者代表のようなブルース・ウイリスですが、この映画ではかなり腹のすわった悪役ぶりを演じています。

あまりスカッと小気味よくなくなるような映画ではありませんが、いま世界が直面しているどうにも避けがたいひとつの真実を切りとって見せてくれているようでもあり、映画というメディアでしか伝えられないものを伝えているかもしれない、重厚な作品のように感じました。

【メールマガジン「水マガ」毎日配信中】
水城ゆうの現在の活動にかかわるすべてのものについて、テキストコンテンツとして毎日配信しています。長編小説『大きな川と雪のものがたり』連載中。
登録はこちら