2018年1月6日土曜日

だれもが作家になりうる時代

芥川賞という、新人の純文学作品に与えられる賞があるけれど、この賞にノミネートされるための条件をご存知だろうか。
一般人にはほとんど知られていないが、出版界には文学専門の月刊誌というものがある。
だいたい以下の4誌が純文学マーケットを占有していると思ってもらっていい。

『文学界』文藝春秋
『群像』講談社
『新潮』新潮社
『文藝』河出書房新社

ここに掲載された新人作家の作品が、芥川賞の選考対象になる、と思ってもらっていい(例外はある)。
では、ここに作品を掲載するにはどうしたらいいのか。
各誌が主催している新人賞に応募して、受賞するか、優秀作品として選者や編集者の目にとまる必要がある。
いろいろと面倒なのだ。

これら文学雑誌を読むのは、文学作品を読むのが好きな人たちではない。
自分も作家になりたい、純文学作家として名を知られたい、本を出したい、という人たちが読んでいる。
つまり、読者はほぼ書き手(の候補)といっていい。

ちょっと乱暴ないいかたに聞こえるかもしれないが、私にいわせれば、そんな面倒なことをしなくても、書きたいものがあればさっさと書けばいいし、人に読んでもらいたければネットで広く配信すればいい。
それでお金がほしいなら電子書籍にして課金すればいいし、紙の本にしたければとっととオンデマンドで印刷製本すればよい。

実際、私はそうしている。
なにも困ることはないし、毎日、だれか(とくにそれなりの都合を押しつけてくる編集者や出版社)からとやかくいわれることなく好きなように書いてたくさんの人に読んでもらっているので、とても幸せだ。
人がなにかを書いて発表するというとき、これ以上なにが必要だというのだろうか。
私にはわからない。

音楽や映画の世界では、インディーズということばがある。
商業的な会社やレーベル、流通から離れて、自分たちで勝手に作り、自分たちで勝手に売っている人たちだ。
とはいえ、大変な成功をおさめている人もいる。
メジャー以上に名が知られたり、収益をあげている人も、最近はどんどん増えてきた。
これが時代の流れなのだ。

もの書きの世界もインディーズでいいではないか。
もともと作家というのは、孤独にひとりで原稿に向かうのが好きな人間だ。
あまりにひとりが寂しいというのなら、インディーズグループを作ってもいい。
私が「身体文章塾」を主宰し、そこから生まれた作品群、作家たちを「HiYoMeKi」として世に問うているように。

というわけで、今年は「HiYoMeKi」の飛躍の年にしようと思う。
ひょっとしたら、ここから芥川賞が生まれるかもしれんよ、みたいな。

1月14日:共感文章講座(自己共感を用いた文章表現)
1月14日(日)午前11時から約6時間、共感文章講座を開催します。水城ゆう( mizuki-u.com )が長年つちかってきた文章術、指導法に加えて、共感的コミュニケーションにもとづいた共感のプロセスも取りいれたユニークな方法を練習します。オンライン参加も可。

1月開催:身体文章塾(1.14)
テキストで自分自身を伝えるために、自身の身体性とむすびついたことばや文体についてのさまざまな試みをおこなっています。1月の開催は14(日)/21(日)/27(土)、いずれも19時より約1時間半程度です。